テンゲンの取扱説明書にかなう物無し!
テンゲンメガドライブソフト取扱説明書全紹介
~上~
通常購入したその商品の使い方を理解してもらうためにメーカーが添付する書類や冊子をさします。
ゲームソフトだと通常そのゲームの遊び方・ストーリーなどが記載されています。
ファミコン世代の私の場合、ファミコンのソフトを親に買ってもらった自宅への帰路の途中でまだ見ぬゲームプレイにわくわくしながら1ページ1ページとあの薄くて長方形の取説を読みふけっていました。
あー、早くうちに帰ってこのゲームやりたいなぁ~、と。
・・・・・最も今もゲーム買ったら買える途中に取説必ず読むので変わってないですけどね。
そんな取扱説明書(取説)ですが上述したゲームのプレイ方法やプレイに関する注意点が記述されていたり、ものによってはゲームを進める上でのヒントが記載されていたりします。
更に変わった例として以下のようなものがあげられるでしょう。
- ゲーム中のBGMの歌詞が書かれている(ボコスカウォーズ/ファミコン)
- ゲームのBGMの譜面(ラフ ワールド/ファミコン)
- ゲームの世界観を漫画化(アディアンの杖等/ディスクシステム)
そういやファミコン本体の取説も漫画になってますね。
しかし、世の中にはもっとすごいヤツがいた!
主にメガドライブでゲームソフトを発売していたテンゲンの取扱説明書です。
別に漫画化されているわけでもなく歌詞カードがついているわけでもないですが、全体的におバカなノリと取説なのに読者コーナーがあったりでどこまで本気なんだ?という非常に個性溢れる、いや溢れるなんてレベルじゃない、豪快にはみ出てるよ!という内容の取説です。
一言でいうとサービス精神旺盛、ユーザーフレンドリー、あるいはメーカーの悪ノリw
ところで、テンゲンというメーカーですが1985年にアメリカでアタリゲームズの家庭用ゲーム部門子会社として設立されたメーカーです。
スチャラカ取説作るのはこの日本法人。
さまざまなハードでゲームを出していたようですが、日本国内において一番ゲームソフトがリリースされたハードはメガドライブでした。
その後次世代機発売に伴いセガサターンやプレイステーションにシフト。
なんやかんやで社名が株式会社タイムワーナーインタラクティブ(TWI)に変わります。
心霊呪殺師太郎丸やレイディアントシルバーガンの開発をしてました、と言えばお分かりになるかもしれません。
レイディアントシルバーガンを開発中のままTWI日本法人が解散し、トレジャーが引き継ぎました
詳しくはWikipediaのテンゲンの欄を参照ください。
尚、テンゲンの由来は囲碁用語の天元(碁盤の中心点)からとられたといわれています。
親会社であるアタリゲームズも囲碁のアタリから来てますしね。
メガドラ時代にもマーブルマッドネスやガントレット、スノーブラザーズなど名作移植を行っており、取説が面白いだけのメーカーではありません。
さて、その気になる取説ですがとにかく見てもらいましょうか。
メガドライブ参入一発目のハードドライビン、取説開いて1ページ目、
なんぞこれ・・・・・・?
しかしこれこそがテンゲンファンにはお約束の冒頭文。
そして使用上の注意。
カートリッジの汚れをふくときに、シンナーやベンジンなどを使わないでください。
ましてや、吸うなどもってのほかの行為です。
絶対、やめましょう。
・・・・・・吸わないよ!!!!!
こんな感じの軽いノリとくだらない・ある意味確信犯的なギャグで構成され、最後はテンゲンお便りクラブ、略して
テンゲンおたく
で〆られます。
ちなみに仮称。でも最後まで仮称。
この取扱説明書目当てのためにテンゲンのソフト買う人もいるとかいないとか・・・・・・・・あ、私ですねw
とにかく通常淡々とゲーム内容を説明する取説がこんなに楽しいメーカーはそうはいないでしょう。
今回、メガドライブで発売されたテンゲンの全てのソフトの取説を発売日順に紹介していきたいと思います。
1ページ1ページが少々長く、画像も大目ですがお付き合いいただければ幸いです。
尚、上・中・下の3部構成となっております。
その1:ハードドライビン
1990年12月21日発売
テンゲンメガドライブ最初のリリース。
ハードドライビンはだいぶシミュレータ要素が強いレースゲームです。
続編で少々レース要素を付加したレースドライビンなどが出ています。
最初、ということでわりとまじめに説明しています。それでも他のメーカーと比べるとぶっ飛んでますが。
まだ表紙にネタは仕込まれてません。
表紙のネタもテンゲン取説の楽しみの一つです。
それでは中身。
これはコース(ゲームモード)の説明。
一見問題ないように見えますが、下のプレイ画面の説明、
チャンピオンはデモ中に紹介されるぞ。かっこいいな
ひゅーひゅー。
ひゅーひゅー、ですか。
なんかむしろカタカナにしてくれればよかったんですがなんつうかこう脱力感が・・・・
続いてプレイ中難度が高い箇所のアドバイス。
ハードドライビン自体当時としては結構シミュレーション要素が高く、普通のアーケードチックなレースゲーム感覚ではうまく操作できません。
で、
いやいや、JAF以外にも違いあるでしょうw。というかJAFもこんなところで名前が出てくるとは思うまい。
アドバイス自体はまともです。全体的にいえますが単にネタをちりばめてるだけじゃなく、きちんと押さえるべき場所は押さえています。
で、難しいポイントの説明として
-
はね橋を飛びすぎたとき
- ループを通過できないとき
- バンクを通過できないとき
- コースからはみ出したとき
ときてなぜか、
オチがくる(笑)。
なお、このテの連続した内容に関しては今後もほぼ間違いなく最後の説明にオチを用意してきます。
ゲームオプションの解説。
ハードドライビン自体当時としては無駄にオプション細かいのにそれを分かりやすく、ノリノリで解説してくれます。
確かにループし放題やコース逆走は夢かもしれない。
マイル表示も試してはみたいですがKm/hになれた日本人には現在のスピードが把握しづらいので勘弁してください。
リセットボタンを押しても電源を切らない限りオプション設定が残るのは今後テンゲンの伝統に。
難易度設定。
余計なお世話かもしれませんが、運転免許を持っている方で、恋人の前で遊ぶのなら、
EASYにして安全運転をこころがけたほうが良いと思います。
事故を目撃されて、乗ってもらえなくなったら問題ですから。
いやー、お心遣い感謝します・・・・・・・・・????
と、ハードドライビンはこんな感じです。他の作品に比べるとぜんぜんぬるいです。
まぁ最初の作品ですしこんなもんでしょう。だんだんパワーアップします。
テンゲンおたくことテンゲンお便りクラブはまだありません。ランパートからですね。
その2:ロードブラスターズ
1992年2月28日発売
次のソフトが発売されるまで1年以上間がありました。
ゲーム内容は一言で言うと車のマッハライダー。
いやほんとこれ以上ぴったりくる説明がないってくらいそっくり!
あえてマッハライダー以外を選ぶなら映画デスレース2000年かなぁ・・・・・びみょーに違うかな・・・・。
ここらへんから表紙へのネタ仕込みがちらほら始まります。
どうみても安全運転できる雰囲気ではない。ミサイルは飛んでるし機関銃ぶっ放してるし。
片手運転だし左手は仮にクラッチだとしても何のボタンがついてるんだ?
で、開いてまずはお約束。
ちなみに、使用上の注意にこんなことが書いてあったり。
いやー、酒飲んだあとゲームするとなんかうまくなったような気がするんですけどねぇ(笑)。
ハードドライビンの使用上の注意の同様の箇所にも同じようなことが書いてあります。
テンゲンの説明書には冒頭に必ずこのお約束事項がついてきます。
使用上の注意のお遊びも同様。
特に飲酒時に関する注意のバリエーションは豊富。
さて、このロードブラスターズ、もともとアーケードのレースゲームだったようです。
ハードドライビンはたまにみたことありましたが、こっちはまったく見たこと無い。
実際日本での設置台数少ない旨書かれていますが、
今回は特別に、この名作ゲームを選ばれしメガドラユーザーのあなたにお届けすることになりました。ひゅー。
また「ひゅー」ですか。
さて、初期テンゲンの説明書はテンゲンおたくもなくネタになる箇所少ないのでじゃんじゃんいきます。
ハードドライビンと同じく、ゲームのポイントとなりそうな箇所についての説明です。
高得点のとり方の説明ですが、
どうすればうまく得点をかせげるか?
「ホントは知らないんじゃない?」と思われると悔しいので、
高得点を取る秘訣を伝授しましょう。
ところどころにネタをばら撒いてくれます。
ゲームオプション設定。
サウンドテストや言語設定は今後テンゲンのスタンダードになります。
よくよく読むと所々表現がおかしい箇所があるがきにしないきにしない。
その3:ピットファイター
1992年3月27日発売
ピットファイター!
ハードドライビンと同じかそれ以上の独特の日本語訳と実写取り込みでご存知の方も多いかと思います。
数々の名言も生み出しました。
マニュアルも当然その辺を意識したつくりです。
強者(つわもの)への道、と来ましたよ。
「なさけ むよう」
スタートボタン以外は全て凶器ですはマニュアルオリジナルだが違和感なし。
「強者たち」
「残虐行為手当」
「タフすぎてソンはない」
と、ピットファイターの名言出まくりです。
自キャラクター紹介。
「俺がバズだ!」
「ワイがタイや!!」
「アタチ、かとーアル アタチ、チューゴクヂンないアルヨ」
見事?な3段オチ。
自キャラがこれなんで敵キャラの紹介も似たような感じ。
恥ずかしいから覆面、とか、頭の中も暴走しているのを隠すためにバンダナとか・・・
カプコンもスト2作成の際に参考にしたといわれるピットファイターですが、ゲーム中にナイフやらイス、はたまたバイクなどが凶器として使えます。
あと「P」と書かれた謎の緑色の錠剤。どう見ても怪しい薬です。その辺のくだりもマニュアルには書かれています。
業務用、というか米国仕様だとドラッグという言葉が麻薬を連想させるので使えないんでしょうか。
まーどうみてもドーピングなんで説明書の通りパワードラッグの方がしっくりきますわ。
その4:ペーパーボーイ
1992年6月26日発売
ペーパーボーイもいかにも洋ゲー、というテイストで有名ななったゲームのひとつだと思います。
ほんとにあんな配りかたしてんのかよ!と思いますが、大体あってるらしい。
一般的には車で配達して、窓からポイポイ投げてくらしい。なのでボーイではなく免許持ってるオジサンとかの方が多いとか。
で、
「新聞配達で有名になる方法」
マニュアル表紙でこう来ましたよ、と。
で、説明やら操作説明やらでゲームのヒントとして「配達奥義」。
デイリー・サンには戦車砲(?)なみの破壊力があります
マジ?!
人ん家のガラス割るし邪魔モノ排除できるしただの新聞ではないとは思ってましたが・・・・
そんなこんなでまぁ頑張って有名になりましょうで説明が続くのですが、ゲームオーバーの説明が・・・・・
障害物や邪魔モノにぶつかるとペーパーボーイがこけます。
”ペーパーボーイくびになる!”
こんな記事が一面に・・・・
「ああ、釈明記者会見をやりたい・・・」
まぁミスとゲームオーバーの説明ですが、「こけます」という説明はなんというか・・・・・いやわかりやすいですけど。
そしてゲームオーバー。釈明記者会見ですか。
しかし最終ページにはこれらのネタをはるかかなたに吹き飛ばすとんでもないネタが仕込まれてました。
楽( くる )しい楽( くる )しいプログラミングが終わった途端、
「じゃ、新聞配達に行ってきまーす!」
の言葉を残して出かけたきり、帰ってこないんだよ。
ルビがくるしいになってますよ!
それは帰ってこなくなるかもしれないわ・・・・
その5:ランパート
1992年12月11日発売
ランパート。基本はアクションですが、ちょっとパズルちっくなところやSLGちっくなところがあったりでちょっと変わったゲームです。
今風にアレンジして3Dで続編が出てもおかしくない。
というかランパート3Dでないだろうか。
マニュアルは砲術大全とありますがテトリスチックな築城部分も結構大事です。
まぁでもステージが進むと砲弾の嵐になるので砲術のほうが大事かな?
で、このゲームのマニュアルは「昇段模擬試験」と称するヒント集が最高の出来栄えです。
まぁご覧ください。
MASTER度がマスタードじゃねーぞなんてところはほんのジャブ、本質は各問題。
問題1
この中であなたが選ぶべき、戦略上、より重要と思われる城はどちらでしょうか?
1.囲みやすそうなA
2.敵艦隊に近く、攻撃しやすいB
3.あきらめてリセットボタンを押す
問題2
この状況で、あなたならどこを攻撃しますか?
1.岸に一番近く、砲兵を上陸させている黒い戦艦A
2.一番奥にいる、火の砲弾を打つ赤い戦艦B
3.あきらめてリセットボタンを押す
問題3
敵の攻撃が激しく・・・・(略)
1.とりあえず他の城を・・・(略)
2.何とか修復しようと・・・(略)
3.あきらめてリセットボタンを押す
回答の選択番号3が全部「あきらめてリセットボタンを押す」になってます。
まぁ問題始まったばかりだし、この程度のネタならまだまだ、と思ったら、
まだ続いています。
しかも途中からめんどくさくなって単純に「リセットボタンを押す」になってます。
そして素晴らしいオチが待ってます。
どんどん省略され「リセットボタン」のみになり、最終問題、
問題10
「孫子の兵法」で有名な中国の春秋戦国時代の軍師は次のうち誰でしょう?
1.孫子
2.諸葛亮孔明
3.リセット=ボタン
リセット=ボタンって誰だよー(笑)!!!!
この問題を見たとき、ズルっと脱力感に襲われました・・・・
ちなみに採点は1を選択した場合10点、2を選択したら5点、3は0点(当たり前)だそうです。
で、ランパートもうひとつの目玉は初めてのテンゲンおたよりクラブ。
※個人情報になりそうなところは伏せさせて頂きました。以下同様。
これが説明書内に読者コーナーがあるという伝説のアレ、「テンゲンお便りクラブ」です。
まだ初回なのでそれほどはっちゃけてないと思いきや、
そんなシブ好みの君には300ガバチョだ!(特に意味はない)いや、まちがえた。
テンゲン特製、かっこいい粗品を贈ろう!
えー、アレですかね・・・・当時某雑誌の読者コーナーで掲載されるともらえるアレ・・・・・・
そして「かっこいい粗品」。豪華粗品ってのはきいたことあるがかっこいい粗品という表現は初めてだ。
そんなこんなでランパートの説明書はこの2つがかなり秀逸です。
ランパートはお値段もそれほど高くなく、ゲームシステムも他では見られない変わったシステムで取説のネタ度合いも高く、とりあえずテンゲンのソフト1つ!という場合におすすめのソフトです。
その6:R.B.I.ベースボール 4
1992年12月18日発売
いきなり4。
というのも米国では既に1,2,3が発売されているからです。
そもそもこのR.B.I.ベースボールシリーズは日本のとある有名な野球ゲームの米国版なんです。
えー、ナムコのファミスタ。
なんでファミスタ大リーグ版といって差し支えないと思います。
メガドライブ版はファミスタのシステムを踏襲しつつ変更を加えた、という感じでしょうか。
初代R.B.I.BASEBALLファミコン(というかNES)なのでファミスタそのまんまです。
と、説明書の表紙はちょっと後回しで、中身を。
このように画面はリアルなファミスタ、という感じが分かっていただけるかと。
全体的にアメリカンな感じです。特にファミスタなれしてるとそう思います。
なんか下に妙なゲームモードがついてますが。
・・・・・実はこれはこれでかなり燃えるプレイモードなんです。
1-1 満塁 9回表で得点を入れて逃げ切れるか、とか。
書いてあるとおりサクッとプレイしてサクッと終わらせられるのがまたよい。
野球ゲームは1プレイが長いですからね。
しかしこのR.B.I.ベースボール4の一番の見せ場はなんと言っても表紙!
さぁ特とご覧あれ!
ランランラン(R)
ベースボールは(B)
いいもんだ(I) よーん(4)
・・・・・・・・・・・・。
開いた口がふさがりません・・・・・・。
尚、本来のR.B.I.の意味は「Run Batted In(打点)」だそうです。
さて、テンゲンおたよりクラブ。
2回目で「テンゲンお便りクラブ」という名前がつきました。
略称テンゲンおたくは最後までそのままです。
どこをどうつっこんでいいか分からないテンゲンお便りクラブ。
あえてあげるなら最後ですかね。
さて、テンゲンではみなさんのお手紙、イラスト、ファンレター、ラブレターなどを随時募集中です。
採用された方には、世界の一流DCブランド、テンゲンの特製グッズをさしあげます。
グッズが品切れの場合には、わたくしめのサインを…あ、いらないですか?
たったこれだけの文章に突っ込みどころが3つも。
さて、これにてテンゲン取説紹介「上」は終了。
「中」へ続きます。
まだまだ序の口、テンゲンの芸術的ともいえる取扱説明書は内容をどんどんパワーアップさせていきます。
テンゲン取説紹介「中」を見る