アリス:マッドネス リターンズ ストーリー考察

前回に引き続きアリス:マッドネス リターンズの内容についてちょっと考察。
例によってストーリーとちょっと外れた部分を私の予想まじりで考察したいと思います。
今回で最後。


今回はストーリー全般。
しかし情報量がとにかく多く、書いてるうちに何が何だか分からない状態になってきたのでいったん整理して、以下に絞って書いて見ました。



1.ストーリー関連

1-1.時系列
1-2.本編ストーリー
1-3.よく分からない点

2.火事の真相


2-1.アリス家
2-2.火事の真相

3.バンビーについて


他にも、興味深いところはありますがほんときりが無いので上記でいきます。

ネタバレしまくりますのでその点ご注意ください。




1.ストーリー関連



1-1.時系列



まず内容整理するためにざっくり起きた事柄をアリスインナイトメア・原作を入れて、書き出します。

  • 不思議の国のアリス
  • 鏡の国のアリス
  • 火事
  • ラトレッジ精神病院入院
  • アリスインナイトメア
  • ラトレッジ精神病院退院
  • アリスマッドネスリターンズ



アリスインナイトメア・アリスマッドネスリターンズ共に不思議の国のアリスと鏡の国のアリスの2つがあることが大きな前提です。
原作の続き、ってことになってますしね。


上記に主人公アリス・リデルの年齢と日付を付け加えます。
これで時系列が分かるはず。

事柄 年月日 アリスの年齢
不思議の国のアリス 1863/5/4 おそらく7歳
鏡の国のアリス 1863/11/4 7歳と半分
火事 1863/11/5 7歳と半分?
ラトレッジ精神病院入院 1864/11/4 8歳
アリスインナイトメア 1873~1874 18歳
ラトレッジ精神病院退院 1874/11 18歳
アリスマッドネスリターンズ 1874~1875 19歳



ラトレッジ精神病院入院以前の日付・年齢の理由に関してはあとで述べます。(2-1参照)
アリスインナイトメアの日付(1873~1874)はアリスインナイトメア付属のラトレッジ精神病院症例記録より。
1873年9月7日にアリスが口を開き(ただし言葉にはなっていない模様)、猫のような動物を描いて見せた、とあります。
チェシャ猫のことでしょう。
ラトレッジ精神病院症例記録は1974年8月24日で終わりますが、続きがアリス:マッドネスリターンズの過去の出来事にあります。

以下抜粋して引用:


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1974年10月あたりに担当医のウィルソンはアリスの状態は良くなったもののそれはラトレッジ精神病院での治療の結果ではなく、「自分自身」で「治療した」と判断。
(アリスインナイトメアで女王を倒し、ワンダーランドを元に戻す)
アリスはまだ幻覚に悩まされるものの健康に見え、これ以上の時間消費は無駄と司法介入を請求。
1974年11月に彼女はラトレッジ精神病院を退院。
プリス・ウィットレスの紹介でバンビーという医師のもとで住み込みの仕事をしつつ治療を受けている。
-----



このあとアリス:マッドネスリターンズの本編に続きます。




1-2.本編ストーリー抜粋



とりあえず私が「こうではないか?」と考えている内容を述べます。

  • 1章
    アリス、バンビーの治療を受ける
    薬を買出しに行く
    プリス・ウィットレスと合う
    (プリス・ウィットレスを突き落としたかも?)
    不思議の国へ再び戻る

  • 2章
    何故かテムズ川から復活(ある程度期間が経過した可能性がある)
    おんぼろ人魚亭でナニーと出会う
    ジャック・スプラッターに顔面を殴られ、再び不思議の国へ

  • 3章
    おんぼろ人魚亭全焼
    ナニーとともに馬車でラドクリフの元へ
    ラドクリフにウサギの人形の変換を要求
    (ここでもある程度期間が経過した可能性がある)
    ラドクリフの家は既に空き家?になっている。
    ラドクリフの家を出るとロンドンと不思議の国が融合したロンダーランドとなっている
    (この時点でアリス再び不思議の国へ)

  • 4章
    アリス、投獄されているシーンからスタート
    (ここでもある程度期間が経過した可能性がある・ナニーが殺されているため)
    刑務所から外に出てすぐ不思議の国へ

  • 5章
    ラトレッジ精神病院に引き戻された幻覚を見ている
    現実世界?のハイドパークへ移動
    インセインチルドレンに連れられて?(むしろアリスの精神世界の一つ?)ドールハウスへ
    火事の真相を理解

  • 6章
    ムーアゲート駅にてバンビーと対決
    バンビーおよび自分自身に打ち勝つ
    完(不思議の国は傷を負っているものの記憶の中で無事に残る)




1-3.よく分からない点



ストーリー上いくつか不明点はありますが、ここでは以下の4つをとりあげてみました。


  • 2章がテムズ川から始まること
  • ラドクリフの家が突然空き家?になったこと
  • ドールハウスへ行くまでの過程
  • バンビーとの対決



・2章がテムズ川から始まること

2章はアリスがテムズ川から引き上げられるところからスタートです。
何故テムズ川に落ちたのか分かりません。
幻覚を見てる最中に落ちたのかもしれません。謎。
ここは何らかの時間経過があったと解釈しました。



・ラドクリフの家が突然空き家?になること

3章でラドクリフの家が突然空き家になります。
その後不思議の国とロンドンが融合したロンダーランドに突入します。


このときラドクリフの家で何がおきていたのか分かりません。
ただ、ナニーにつれられてラドクリフの家に行ったことは間違いないと思われます。
その後ロンダーランドが発生しているのでアリスの幻覚が発生したのも確かです。


2通り、考えました。

ナニーにつれられたその後、何度もアリスはラドクリフの家に行ったのかもしれません。
火事のことを責め立てられた結果アリスの幻覚が発症したの可能性はあります。
実際ラドクリフのムービーの最後は「彼女はなんらかの精神科的な発作を起こしてしまった...」で終わりますので。

ただ、空き家になったラドクリフの家の玄関から出ようとするとバリケードがうんぬん、というメッセージがでます。
あの部分の日本語訳は少々分からないので英語の方を見てみます。

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The barricade discourages squatters. Suggests he didn't sell up. Just left - quickly.
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squattersは不法占拠者・不法居住者。それをふまえて訳すと


バリケードは不法居住者を失望させる。
つまり、彼がこの家を売らなかったことを示唆する。
去るしかない・・・・素早く。

ラドクリフが引っ越した可能性はあります。


ということで、パターン1:
ラドクリフに責め立てられてロンダーランド発生。ラドクリフの家が空き家なのはアリスの幻覚。

パターン2:
ラドクリフの回答に納得いかないアリスが再度(あるいは何度か)ラドクリフの元を訪問するも、ラドクリフはいつのまにか引越し。何等かの原因(欲しい回答が得られなかったこと?)でロンダーランド発生。


なんともいえませんがパターン1のほうがすっきりします。
でもラドクリフが引っ越した可能性はあると思ってます。根拠ないですけど。
何等かの時間経過は発生したと考えています。


・ドールハウスに行くまでの過程

ドールハウス(5章)に行くまでですが、最初はラトレッジ精神病院から始まります。
ラトレッジ精神病院に引き戻されたようなふしがありますが、私は引き戻されたような幻覚を見た、と判断。
理由は3つ。

ラトレッジ精神病院の描写が他の現実世界の描写と比べると曖昧模糊としていて現実感がない
ラトレッジ精神病院最後の他の主要キャラとの会話(ラトレッジに戻りたくないだろ、等)
バンビーの真の目的(アリスの陥落)を考えると簡単に手放すはずが無い


いや、ほんとに戻されちゃった可能性も否めないですけどね。
ただ、マギーのインタビューで(以下GameWatchインタビュー引用)

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McGee氏: 実はアリスの物語は3部作を構想しています。「アリス イン ナイトメア」はアリスの精神での葛藤を描いた作品なのです。負ければ狂気が待っており、アリスは自身の正気を取り戻すためにワンダーランドで戦います。

「アリス マッドネス リターンズ」は"現実との戦い"をテーマにしています。ここではアリスは自分の死と向き合います。その死は社会的な意味も持っており、負ければ現実との接点を失ってしまう戦いなのです。そして3部目では精神の戦いに勝ち、現実を克服したアリスはスーパーヒーローとして活躍するのです。
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とあるのでここはそうあって欲しいという願いも込めてラトレッジ精神病院には引き戻されておらず、話はそのまま続いていると解釈しました。

3作目が出るかはおいといて、現実世界で自分を見つめなおし、自分自身の解放が目的である、とすればそれは今作のテーマとあっていそうです。



・バンビーとの対決

バンビーとの対決が実際に行われたか(バンビーを線路に突き落としたか)は上記と同じ理由であったのではないか、と推測します。


では最後何故ロンダーランドになるのか。
私は、不思議の国(ワンダーランド)がアリスの精神世界、ロンドンはアリスの現実世界で、今作で火事の真相と自分自身の解放の成功がロンダーランドとして具現化した。
前作で最後不思議の国が再生成されたのと同じように自分自身が再生成された(されようとする)。
それをアリス視点で見たのがロンダーランドじゃないでしょうか。


いや、むしろ6章全体のロンドン部分がアリス視点なのかもしれない。
現実では起きえない内容を若干含みますし。






2.火事の真相


2-1.アリス家



父 アーサー・リデル
オックスフォード大学学部長・写真好き・お茶会の際学生をに自宅に呼ぶらしい
火事に巻き込まれ死亡


母 ミセス・リデル(ファーストネーム不明)
火事に巻き込まれ死亡


姉 エリザベス(リジー)・リデル
火事に巻き込まれ死亡。享年18。


主人公 アリス・リデル
一人火事から生還。7歳(と半分)


飼い猫 ダイナ、(スノーホワイトも?)
その後の消息不明



FacebookアプリやiOSアプリのAlice: Madness Returns Storybook Appで、火事を告げるニュースの部分に父親の名前やリジーの年齢が載っています。
アリスの年齢についてはアリスインナイトメアのラトレッジ病院症例記録によるとウィルソン先生がアリスの担当となったのが1864年11月4日。
退院した(アリスインナイトメアの時)のは前述の通り1874年11月。
このとき18歳という設定なので、そこから逆算すると1863年は7歳。


実際アリスが鏡の国へ行ったのはガイ・フォークス(イギリスの祭日・11月5日)の前日、つまり11月4日。このとき原作でハンプティ・ダンプティに年を聞かれ、「7歳と半分」と答えている。
不思議の国へ行ったのは5月4日。原作でチェシャ猫に「今は5月だから・・・」というシーンと、お茶会で帽子屋に日付を尋ねられて「4日です」と答えている。


誕生日は11月4日に「7歳と半分」なら5月4日かな?




2-2.火事の真相



まず火事発生日
これは1863年11月5日。
ギャラリーの過去の出来事で確認可能。
またAlice: Madness Returns Storybook Appで1863年11月11日に火事を伝えるニュースを確認できる。


もしこの日付ならば本当に2つの冒険覚めやらぬ間に火事にあったことになりそうだ。



外面上の原因は以下の通り。

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出火元は書斎で、猫(ダイナ)がランプを倒してしまったものとされている
火災で彼女の両親と姉は上の階から逃げられなくなってしまった
姉のリジーは部屋の鍵を開けることすらなく、ベッドの中で絶命した


※ラドクリフが「報告されている原因」として語る
-----



また直接の原因ではないが、ラドクリフの記憶の中で

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最初に書斎で火が出て、ガス管が爆発した時に一気に広がって大惨事となったのです
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という内容がある。



ラドクリフおよびアリス自身は


「アリス自身が火をつけた・あるいは原因に関与している」


と考えているようだ。
ラドクリフはアリスに「放火癖(Pyromania)」があるんじゃないかと述べている。



で、肝心の真相ですが、記憶その他から類推して以下の通り。



バンビーがオックスフォード大学の学部生だったころ、リジーに「心を奪われ」夢中になるもリジーは取り合わない。
バンビーは一人空まわり。関係を迫るべく執拗に追い回す。駅のトイレにまで。
バンビーのエリザベスへの想いは暴走。


そして火事当日、バンビーがリデル家に侵入。エリザベスに暴行。
※暴行を示唆するテキストは未使用テキストに収められている
暴行後彼女を殺害、あるいは昏倒させ、彼女が部屋から(窓から)出られないようにする。
そして自分の行った犯罪の痕跡を消すためにリジーの部屋に鍵を閉め、1階のランプを倒して火を放つ。
リジーの部屋の鍵は持ち去る


両親は炎にまかれて死亡。リジーは目立つ外傷無し(部屋の鍵が閉まっていたから火が届かなかった?)。
アリスは2階の窓から脱出。その際に火傷を負う。



リデル家に侵入するバンビーを幼いアリスは見ているが、それをケンタウロスとして認識していた。
また、暴行・殺害?時のリジーの声を幼いアリスは聞いていた可能性がある。






3.バンビーについて



本名はアンガス・バンビー。
リデル家との関係については上述の火事の真相部分を参照。


今作におけるバンビーの目的:

表向きは催眠療法による精神病の治療。精神科医。あわせて養護施設を経営。
裏では引き取った子供たちをマインドコントロールして売春婦・男娼に仕立て上げる。
アリスも同様。不思議の国を利用して(地獄の汽車)彼女を支配・陥落しようとしていた。



そもそも上述の通り火事の原因でもあるリジーとのやり取りからしてバンビーは愛情表現の仕方ががうまくない、というか立派な犯罪者だ。
催眠療法も己の欲求を満たす道具の一つなのかもしれない。


ゲーム中、ドールマスターとして最初に登場するシーンで以下のような会話がある。
※若干抜粋して引用

-----
アリス:
幸せを追う道化たちの中でも、私こそ最もひねくれて利己的なんじゃないかしら? そうとは知らずに身売りする女の調教場に住んでいる。 先生は虐待者で調達役。 私は精神を汚され、姉と家族を殺した犯人に加担していた! 苦痛からの平穏を求めたのに、真実から目を背けさせられていた!

ドールマスター(バンビー):
恐れるものから解放されるまで、もう少しだったのに。 治して、忘れることもできたかもしれなかった
私は娯楽を提供している。 広大で残酷な都会では、多種多様な欲求に応えなければならない..
-----

このやり取りで大体把握できるかと思います。



なお、ゲーム中のナニーのセリフで、

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泥棒とロクデナシはゴキブリ並みにいるのさ! 若い子たちは変態の餌食。 カリバチが食べる罪の無いアリや、クモが狩る弱々しい獲物みたいに
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というセリフがあるし、ジャックはジャックで、

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おむつ変えてないで、本物の仕事してみるか? 身無し子の世話してるよりいいぞ。 人様を喜ばせてやれる。 世界を救う仕事だ、良いと思わんか?
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といってます。
少なくともアリスのまわりではある程度売春行為が認知・行われている状態ですね。


ただバンビーのやっていること(マインドコントロールのち売春婦)が許されざる行為かはかなり疑わしい。
そういう需要は・・・・あったんでしょうね・・・・・・・。
この辺は当時の事情をちょっと調べないとなんともいえない。現時点では資料不足です。
とりあえずWikipediaのヴィクトリア朝の宗教と道徳の部分から引用。


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ヴィクトリア朝は今日では多くの矛盾の一つと考えられている。幅広い層で威儀や節度が洗練されていったことと、嘆かわしい現象の拡大は、矛盾しているように見える。こうした現象には、売春、児童労働、および、今日では労働者階級の搾取や帝国主義による植民地の搾取と考えられる活動にほとんどの基盤を置く経済を含む。このため、ヴィクトリア朝的価値観という表現は、長短あわせ持つ、という意味で使われることがある。
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Dr. アンガス・バンビー。

催眠療法という自分の技能をいかしつつ、外向きは孤児のための養護施設、実際には特殊な需要に応じた人身売買。
しかも表ざたになってないだけで犯罪暦(ストーカー・婦女暴行・殺人・放火)あり。

そりゃあアリスも告発したくなりますよ。あかんね。





ちなみに日本語訳される際に表現がやわらかくなっていると思われるが、表現は英語では結構激しい表現もあるのでしょう。

上記のジャックのセリフは英語だと

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Like a real job? No changing nappies. Better than being a dog's body for orphans. You could make someone happy. Save the world... 10 minutes at a time.
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なので、

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おむつ変えてないで、本物の仕事してみるか? 身無し子の世話してるよりいいぞ。 人様を喜ばせてやれる。 世界を救う仕事さ・・・1回10分でな。
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と最後変わっただけなのに一気に雰囲気が変化してしまいました。
うひー。





といったところで、以上!
調べれば調べるほどネタが出てくる、それがアリス:マッドネス リターンズ。
地獄の汽車の月の運転士のところも元ネタある模様。
HUSH! HERE COMES THE DREAM MAN という歌の歌詞に同じ内容(英語)出てくるようです。



あ、上記の解釈はあくまで私の予想です。
アリス:マッドネス リターンズは一応きちんとしたストーリーになっているのに情報がぶつ切りなのでところどころ脳内補完が必要です。

どーしても分からないとこなどあるので、そこは皆さんそれぞれの考えでいいと思います。
これらは私の解釈ですが、何かの参考になればと思います。


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